物の怪 (講談社ノベルス)/鳥飼否宇

ホンマは出てすぐ読んだ! 速攻読んだ!
レビュー書くの忘れてた!←
いや、あの、言い訳なんですけどね、だってね、観察者シリーズですよ? 一番好きなシリーズの最新刊ですよ? 読んだら変なテンションになるに決まってるじゃないですか。そんな状態じゃレビュー書けないじゃないですかーって思ってたら、一年も経ってます。おい。おい。
気を取り直してレビューです。
今回は短編です。観察者シリーズの短編。レア!
メフィストに掲載された「眼の池」「天の狗」と、書き下ろしの「洞の鬼」が収録されています。
眼の池と天の狗はメフィストに掲載されたときに読みました!(`・ω・´)
何回目か*1ですが、ぐいぐい読んじゃいました。
やはりネコが可愛いです。ハァハァ←
まずは全体の感想を。
観察者シリーズですが、いつもの軽いノリはちょっとお休み。全体的に暗い印象で話は進みます。それでも我らがワトスン役、猫田さんの軽い語り口のおかげで、内容の割に明るく感じられます。
その分、オチが非常にぞっとするわけで。落差怖い。
そう、今回は完全に後味悪いオチです。
いやあ、前回の樹霊がきれいな終わり方だったから忘れてたよ! この人はどっちかって言うと後味悪い系の終わり方の人だったよ!!!
どしゃぶり*2も、シンジケートも終わりがきれいだったからますます忘れてたよ!! ついでに言うなら、いつも「うわあああああ、超面白かったあああああああ!!! っていうか何でそんなに萌えポイントついてくるんだよおおおおおお(ごろんごろん)」ってなるから後味悪いとか忘れてたよ!!!←
いや、本当は知ってる。知ってた。うん。
なんというか、完全に油断というか「ああ、そんなオチはやめてくれええええ、やっぱそうかよおおおおおおお」という絶望感のおかげでさらに引き立った感が。
後味悪いを連呼してますが、当然今回も猫田さんは可愛いし、萌えまくったし、もちろんミステリとしてとても面白かったです。
では、順番に感想を。

眼の池

「神野先輩のバーにふらっとやってきた客(珍しい!)が子供の頃に体験した河童にまつわる事件の真相をトビさんが暴きます。調査はネコにさせました」
説明も酷いが、トビさんのネコに対する扱いも酷い! お前はいつもそうだな! 大変萌えますハァハァ←
トビさんにいいように使われるネコがもう……(*´∀`*)いいように使われてると分かっていてもトビさんのためにちゃんと調査するネコ可愛い。
結婚してください。嘘です。もうこの二人結婚しろよ。マジで。しないならもう俺の嫁になれよっていうか、猫田さんは俺の嫁です。(壊れた)*3
河童にまつわる事件といえど、まさか河童が本当にいるわけもなく。では河童の正体とはなんぞや? という観察者シリーズのお約束もあり。短編なのでボリュームは少ないけど、非常に読み応えがあります。
何より特筆すべきは、神野先輩。
ネオフォビアはいつも舞台裏というか、幕間だったり導入だったり少ししか出てこないので神野先輩の博覧強記という設定は「設定」ってだけだったけど*4、今回は神野先輩も河童の正体についての考察に参戦してて、ニヤリとさせてくれます。
そもそもネオフォビアがこれだけ描写されるのも珍しいですよね!(*´∀`*三*´∀`*)
あと、雑誌掲載時には挿画があってですね、店内とかトビネコ神野の後ろ姿とかですね、描かれててですね、これなんてご褒美……。雑誌買って良かった……。

天の狗

「登山に来た鳶山と猫田は、天狗の鼻と呼ばれる円柱形の岩の上で起こった不可能犯罪に巻き込まれる。誰が被害者の首を切り取り、天狗のようにあの高い頂から去ったのか?」
もうね、これは!!! 一番好きかも知れない。
いやいやアラダーさん、○○○○○○ネタってだけで評価上げてませんか? うーん、ひょっとしたらそうかもしれない。
いや、好き要素はいっぱいあるんですよ。○○○○○○ネタってのもそうなんですけど、細かいところもすごく好きなんですよ。
トリックがすごく好みなんですよ。犯行後にどのようにして立ち去ったのか? って部分が特に!
トビネコ以外のキャラクターもすごく良い。大学生グループ、山伏、山小屋の主人が登場するのですが、どれも良いキャラしてます。
あ、相変わらず一番キュンと来たキャラが犯人説は不動でした☆ ぐぬう。
地味に「自分の名前に似ている山だから行ってみる」という動機が可愛すぎませんかトビさん!!!*5
それにネコを連れて行くとか!!!(物語の都合ってのは分かってるよ! 分かってるけど萌えるしかねええええええ!!!ゴロゴロ)
細かい描写が伏線になっていて、おお、となることしきり。
そういうのも好きなんだよね。
ところで、これを書いている現在本が行方不明*6で確認できないんですが、犯人があのように至った経緯って説明無かったですよね。
長編ならその辺も詳しく書かれてたのかな?
書き足されたら蛇足に感じてしまう気がするけど、その理由も読みたかったなんて思ってしまう我が儘読者の心理。

洞の鬼

現代アートの作家達が集まり共同生活を営む悪餌島に、鬼払いの秘祭を取材するため、鳶山と猫田、そして高階甚平が訪れる。そこで起こる凄惨な事件。その犯人とは?」
ハイ! 今回の最も後味悪い話キター!
すっごいあと味悪くてもう……。
ムードメーカーであるジンペーが登場するということもあって、基本的には明るいノリで進みます。うん。だからこそあのオチがアレでナニ。
トリックやオチは結構読めるかなと思うんですが、トリックに関しては明かされるまでは「多分そうだと思うけどひょっとしたら……?」と思わせる微妙なラインで語られて、暗闇に目が完全に慣れていない状態で歩いているような、微妙な不安感があります。
オチに関しては、もうそこに辿り着くしか無くて「それはアカン!! 勘弁してくれ!!!」って思っても強制的に進む横スクロールシューティングゲーム的な。じわじわ追い詰められる感じがあって非常に読後は鬱になります。
好きだ!←
とにかく、落差ですよね。この話のキモは。
事件が起こる前の雰囲気と、その後のもう止まらない(何故か読者が精神的に)追い詰められていくじわじわ感を味わえばいいと思うよ!
しかしあそこで終わるというのも卑怯(褒め言葉)ですよね!
あの事実をどのようにジンペーが受け止めるのか、そしてニヤリと笑う犯人はその後どうなるのか。
一切語られないまま終わるっていうのが想像をかき立てられてゾクゾクします。
前作のエピソードを引きずる作家さんではないので、この事件の影響は描かれないのかな……と勝手に想像するのですが、ちょっと描いて欲しいと思ったり。
描かれなくても、勝手に「こんな心境だったりするのかな」と妄想するんですけどね!
観察者シリーズの続編がますますもって楽しみですわー(*´∀`*三*´∀`*)<ヘイヘイ!

*1:掲載の段階で何回も読み返しましたけど何か?

*2:これに関しては完全に印象というだけかもしれんが

*3:何を言っているか分からないと思うが分からなくて大丈夫です

*4:中空でその様子は描かれてるけど、幕間だしなあ……(´・ω・`)

*5:しかし非常に共感できる理由であるw

*6:どこに片付けたか分からない